部活動

【ダンス部】「フラガールズ甲子園」を取材して

文部科学大臣杯 2023年度全国高等学校フラ競技大会
第11回 フラガール甲子園
福島県いわき市 いわき芸術文化交流館アリオス 
    アルパイン大ホール  8月20日(日)
優秀賞 総合第2位 初代フラガール賞 


「フラガールズ甲子園」を取材して
KGニュース委員会 鈴木正人

フラダンスの高校日本一を決める「フラガールズ甲子園」が、8月20日(日)、日本のフラガール発祥の地・福島県いわき市で開かれ、審査の結果、福島県立あさか開成高校が2大会ぶり2回目の日本一に輝きました。大会2連覇を狙う本校、「ゴールデンハワイアンズ」は連覇こそ逃しましたが、堂々の優秀賞(2位)に輝きました。
フラガールズ甲子園には、全国21の高校が参加しました。この大会は、いわき市から全国にフラ文化を発信して復興を後押ししようと2011年に始まりました。2曲を踊り「課題曲の部」と、フラかタヒチアンなどを選ぶ「自由曲の部」で審査されます。今年も色鮮やかな衣装を身にまとい息の合った踊りを披露、約千人の観客を魅了しました。
開会式には優勝カップ返還があり、部長のAさん(高3)が、カップを大事そうにゆっくり手渡す動作は、賞に対する敬意、また、深々とお辞儀をする所作は、まさに王者としての風格とプライドが感じられました。一方、大きな拍手のなかで、ハマっ子が福島県勢に火を投じた場面でもあるような気がしました。
昨年、発祥の地である福島県から優勝カップを本校(神奈川)に持っていかれたこともあるのでしょうか。福島県勢の紹介が始まると館内割れんばかりの声援と、あちらこちらで学校名を呼ぶ掛け声がかかりました。福島県内からは7校が出場し、まさに完全アウェイの世界です。
抽選により2番目にいきなり本校が登場します。「課題曲審査」が始まったばかりの登場に、最初から館内のボルテージは上がります。「自由曲審査」は、全出場校が「課題曲の審査」の披露を終えてからになります。
さて、本校の声援も負けてはいません。登場のアナウンスがされると保護者から「関東学院~!」と2階席から館内に響きます。前列、来賓席の森田校長も手製のデコレーションを付けたうちわで応援します。
ところが、本校の生徒が踊りだすと雰囲気は一転し、静寂が漂います。本校はタヒチアン選曲の激しい踊りではありません。課題審査曲の「アロハ フラ」と自由審査曲の「カ ヒナノ オ プナ」のどちらの曲もゆったりとした柔らかなメロディー。しかし、それだけではありません。この一年間、鏡の前で徹底的に基礎・基本を練習してきた成果を、曲想に合わせ「踊るこころ」として表現していきます。フラを愛するこころ、指先、つま先、豊かな表情と細かな処まで注意が払われています。その表現力、美しさに会場内はうっとり、一気に空気が変わります。言うなれば「美」と「気品」、演舞が終わると会場内からは何ともいえないため息が漏れていました…。そして、一呼吸おいてから我に返ったように拍手が沸き上がる様子は、本校だけでした。
 部長のAさんは、「私たちのフラを踊りきりました。舞台の袖で石井先生が笑顔で迎えてくださり、目が合ったときは涙が出そうでした。石井先生から頂いた手製のお守りを全員で握って大会に臨みました。これからも心の支えにしていきます。私たち高3にとって最後の大会でしたが、大会に関わってくださった全ての関係者、そして、私たちに関わってくださった全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。大会前に初代フラガールの小野恵美子さんが亡くなられました(8月4日ご逝去)。小野さんがいらっしゃったからこそ、フラガールズ甲子園があり、私たちの踊りがあります。『踊るこころ』を胸にこれからもフラを踊っていきたいです。」と満足そうに答えていました。
翌21日(月)は、フラガールの聖地「スパリゾートハワイアンズ」で入賞した8校と新人賞1校の合わせて9校が、エキシビジョンで華麗な踊りを披露しました。
高校生フラガールたちの憧れの舞台、スパリゾートハワイアンズの舞台に立てたことも良い思い出となり、今後の大きな自信につながったことと思います。
最優秀賞に輝いた、県立あさか開成高校もみごとでした。部員8人、可憐な衣装に身を包み、一糸乱れることのない演技、個々の表現力とチームワーク、そして最高の笑顔で頂点に輝きました。素晴らしいお手本となり、来年もさらに大会のレベルが上がることでしょう。
優秀賞、関東学院「ゴールデンハワイアンズ」も精錬されたチーム、「美」と「気品」でため息をつかせるほどに魅了させていました。大会前は周囲からの期待に押しつぶされそうだったと思います。それでも練り上げる創作演舞、衣装、装飾品、すべて最善を目指し、最高のパフォーマンスを魅せました。
大会関係者からは「関東学院さんはプロの指導者がついているのですか?」と聞かれました。「全て顧問の手作りです。」と答えると「素晴らしいセンスの方ですね」と称賛されました。石井先生は「大会分析、選曲、演出、衣装、装飾品は、ステージで踊る生徒のために、顧問として妥協してはいけない部分」だと言います。観てくださる方の心を捉えようと、秘めた熱い思いがあったのです。一方、大会を終え「(生徒たちに)感無量です …。」と涙ぐんでいたのも印象的でした。
申し訳ないことに、紙面の都合で顧問からの報告と挨拶が載せられませんでした。たくさんの思いがあると思いますので、何かの機会に紹介できればと思っています。
今回、顧問の代わりにあらゆる角度で紹介させて頂きました。生徒たちは日頃の指導を受け、奢(おご)ることなく謙虚さを持ち、大会や家族への「感謝」、また、「笑顔」と「踊る楽しさ」を忘れずにプレッシャーのなか、みごとに踊りきりました。観衆の心が吸い込まれるような、ゆったりとした気持ちになれたのは、生徒たちのその真摯な思いが伝わったからでしょう。
「ゴールデンハワイアンズ」、今年も感動をありがとう! 


写真提供  福島工業高等専門学校 
      いわき芸術文化交流会館アリオス


 
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